
怒りのサックス
2010年10月、目黒に"サックス・フィフス・アヴェニュー"の目黒駅前館がオープンするという噂だ。セントラルパークからのそよ風がヒゲを揺らすことになるかもしれない。ただそれだけのことだ。
今日は全てのネコが待ち望む最大の祭典"目黒のサンマ祭り"だ。パンプローナの牛追い祭りと見粉うばかりの殺気が辺りに充満し、サンマをくわえて一目散に走り去る者やサンマは良く焼いたほうが旨いに決まってる」としたり顔で話す中年や背骨を喉に詰まらせて
血を流す子供なんかの嬌声が入り混じって居心地を悪くさせた。
そんな目黒の駅前でサンマを焼く油の混じった煙の芳香の縫い目を権之助坂方向に彷徨していると、骨折にも似た啓示が何の前触れもなく額に去来した。
"サーーックス!"
そうだ、これからは突発的な憤りに任せて「ファーーック!」と吐き捨てる代わりに、「サーーックス!」と言おう。その後「フィフス」と切符を入れ「アヴェニュー」と呟けばいい。そうすれば怒りは毛穴から漏れ出し、やがて美しい草原へと帰って行くだろう。
もしかしたら"アヴェニュー"は"アヴェヌゥ"と発音したほうが良いかも知れない。ヴェジタリアンの彼女には"阿部乳"だと教えてあげよう。
祭りはまだ続いていた。
Text by:ネコ銀河MEGURO-CITY駅前で活動するDAZEDネコ(ストリートミュージシャン)